スタン・ヴァン・ガンディのキャリアとペリカンズの今後について

今回は先日ペリカンズのヘッドコーチに就任したスタン・ヴァン・ガンディのキャリアを振り返りつつ、彼のチーム作りの特徴と今後ペリカンズがどんなチームになっていくのか予想していきます。

早速キャリアを振り返っていきます。※数字は主にWikipedia調べ

マイアミヒート時代(2003年~2005年)

  • 2003年 42勝40敗 カンファレンスセミファイナル敗退
  • 2004年 59勝23敗 カンファレンスファイナル敗退
  • 2005年 52勝30敗 優勝 ※ただしシーズン途中の12月12日にわずか21試合で辞任

ヴァン・ガンディは1995年~2003年までヒートのアシスタントコーチを務めた後にヘッドコーチに昇格。ヒートでは通算112勝73敗の成績を収めましたが、2005年のシーズン途中に家族と過ごす時間を増やすために辞任しています。このシーズンはパット・ライリーが指揮を執ってチームを優勝に導いています。

当時のチームの主力選手は、ドウェイン・ウェイド、カロン・バトラー、ラマー・オドム、エディ・ジョーンズ、ブライアン・グラントなどでしたが、2004年シーズンのオフにレイカーズからシャキール・オニールを獲得するためにオドムやバトラー、グラントなどを放出しています。

スタン・ヴァン・ガンディのヒートでのキャリアは、強豪チームまで押し上げたものの優勝まであと一歩届かずという結果で幕を閉じています。

オーランド・マジック時代(2007年~2011年)

  • 2007年 52勝30敗 カンファレンスセミファイナル敗退
  • 2008年 59勝23敗 ファイナル敗退
  • 2009年 59勝23敗 カンファレンスファイナル敗退
  • 2010年 52勝30敗 ファーストラウンド敗退
  • 2011年 37勝29敗 ファーストラウンド敗退

マジックでの通算成績は259勝135敗の好成績で、当時の主力選手だったドワイト・ハワードを中心としたチーム作りでチームをファイナルまで導いています。

ハワードの他にはラシャード・ルイスやジャミーア・ネルソンなどが在籍していましたが、やはりマジックでもヴァン・ガンディのファイナル制覇の野望は成し遂げられませんでした。

デトロイト・ピストンズ時代(2014年~2018年)

  • 2014年 32勝50敗 プレーオフ進出を逃す
  • 2015年 44勝38敗 ファーストラウンド敗退
  • 2016年 37勝45敗 プレーオフ進出を逃す
  • 2017年 39勝43敗 プレーオフ進出を逃す

ピストンズでの通算成績は152勝176敗。当時のピストンズは再建期にありましたが、ヴァン・ガンディは球団社長兼ヘッドコーチという職に就いてわずか2シーズン目でチームをプレーオフに導いています。

チームの中心にはアンドレ・ドラモンドやグレッグ・モンローなどのビッグマンを置き、ブランドン・ジェニングス、ジョッシュ・スミス、レジー・ジャクソンなどのロスター擁していたものの、再建は叶わず、2018年5月にピストンズのヘッドコーチを解雇されています。

ヘッドコーチとしてのチーム運営の総括すると

  • 就任してからすぐにチームを再建させて、プレーオフに導いている
  • ビッグマンを中心としたチーム運営を得意としている
  • チームをプレーオフに導くものの優勝には手が届いていない

ここまでスタン・ヴァン・ガンディのヘッドコーチとしての成績を振り返ってきましたが、今度はどんなシステムでチームを作っていくのかということについて深掘りしていきます。

スタン・ヴァン・ガンディのチーム作りの特徴

スタン・ヴァン・ガンディのチーム作りの哲学について『pelicandebrief』が記事にしています。

リンク先です↓

https://pelicandebrief.com/2020/10/22/new-orleans-pelicans-van-gundys-offense/

  • ターンオーバーを減らすことを重要視し、ファーストブレイクによる失点を抑える
  • オフェンスリバウンドにはこだわらずディフェンスリバウンドを確実に獲る
  • アップテンポな試合展開を好む
  • ビッグマンをオフェンスの中心に置いてインサイドを攻める
  • ボールをよく動かして質の高いシュートセレクトを求める

これらを踏まえた上でスタン・ヴァン・ガンディのオフェンスの特徴を追ってみます。

ピック&ロールを多用する

この動画を観るとドラモンドを中心としたビッグマンが積極的にスクリーンをかけている様子がわかります。このようなドラモンドの動きを現代のペリカンズでは主にザイオンが務めることになりそうです。

またこの動画ではピック&ロールのボールハンドラーをレジー・ジャクソンが務めていますが、今のペリカンズではこの役をイングラム、ホリデー、レディックなどの複数の選手が実行することができるため、ヴァン・ガンディの好きなピック&ロールを多用することは簡単なはずです。

ビッグマンの周りをシューターで囲う

(Photo by Chris Graythen/Getty Images)

スタン・ヴァン・ガンディが率いたマジックはドワイト・ハワードの周りにラシャード・ルイス、ヒド・ターコルー、ジャミーア・ネルソン、キース・ボーガンズなどのシューターを並べて機能させていましたが、今のペリカンズでも同じようなオフェンスを展開することができると考えられます。

それはハワードの役をザイオンが務めて、イングラム、レディック、ロンゾ・ボール、ホリデー、ハートなどがアウトサイドショットを決めるという構図です。

ザイオンはビッグマンではありませんが、体の強さと幅を活かすことで充分コーチの期待に応えることができるはずです。

ここまでヴァン・ガンディのオフェンスがペリカンズで実行できるかどうか調べてきましたが、もともとオフェンスには定評のあったペリカンズですので、オフェンスが悪くなる心配はあまりしていません。問題はディフェンスです。

ペリカンズにゾーンディフェンスを持ち込む

『pelicandebrief』のNickAlvarez氏によると、最近のヴァン・ガンディはラプターズ、セルティックス、ヒートのゾーンディフェンスに関心を寄せており、ペリカンズにゾーンディフェンスの概念を持ち込むだろうと予想しています。

https://pelicandebrief.com/2020/10/22/new-orleans-pelicans-2-svg-innovation/3/

もともとマンツーマンディフェンスを得意としたヘッドコーチであるヴァン・ガンディが、急にゾーンディフェンスをチームに持ち込んでも上手くいくとは限りません。

それでも最近ラプターズでニック・ナースが用いた「ボックス&ワン」やヒートがプレーオフで用いた「2-3ゾーン」などであれば、それらはマンツーマンディフェンスの応用であるため、ペリカンズで機能させることはそれほど難しくないはと考えます。

つまり極端なゾーンディフェンスではなく、特殊なゾーンディフェンスをマンツーマンディフェンスと組み合わせることで実現の可能性は極めて高くなると言えます。

またそれを実行できるバスケットボールIQの高い、ホリデーやマジック時代の教え子のレディックがロスターに控えていることもアドバンテージになると考えていいでしょう。

まとめ

今回は前半でスタン・ヴァン・ガンディのヘッドコーチとしてのキャリアを。後半でペリカンズでどのようなシステムを導入するのかということを検証していきました。

分かったことは、今のペリカンズにはオフェンスではヴァン・ガンディ好みのロスターを擁しているものの、ディフェンスではまだ予想の範疇を出ていない、何もわからない状況であることが分かりました。

ただし、これまでスタン・ヴァン・ガンディが率いた3チームの内、ヒートとマジックでは優れた守備を発揮させて強豪チームに押し上げています。そのことからも今後のペリカンズがディフェンスを改善させて強くなる可能性は極めて高く、来シーズンの注目チームのひとつになることは間違いありません。

最後まで読んでくださってありがとうございました。

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