シクサーズの2013年~2020年までのドラフト・トレード情報まとめ

2019/20シーズンもプレーオフ敗退となったフィラデルフィア・76ers。豊富なタレントを擁しながら昨年のカンファレンスファイナル進出を下回る結果となってしまいました。

そこで今回は、近年のシクサーズがこれまで行ってきたドラフトやトレードの実績を振り返りながら、今後どのような方針でチーム運営を行なっていくのか、現地メディアの報道を基に検証していきたいと思います。

ブレット・ブラウンHC 2013年~2020年までの7年間の成績とできごと

出典:usatoday.com

近年のシクサーズを振り返るにあたって、大きな出来事となったのは2013年のサム・ヒンキーGM就任とブレット・ブラウンHCの就任です。サムヒンキーについては後述します。

ブレット・ブラウンは2002年~2013年までの長期に渡ってサンアントニオ・スパーズでアシスタントコーチを務めた人物で、このスパーズ在籍時には4回の優勝を果たしています。

また人材育成にも秀でていて、トニー・パーカーやマヌ・ジノビリの育成にも貢献しています。

この手腕を買われて2013年からシクサーズのヘッドコーチに就任すると、フロントが「タンク」やトレードを繰り返しながらドラフト上位指名権を集め続けたためか、なかなか勝つことができず、ようやく2017/18シーズンに52勝30敗の好成績を残しています。

また、シクサーズでもマイケル・カーター・ウィリアムズを新人王に導いたり、ナーレンズ・ノエル、ジャーリール・オカフォー、T・J・マコーネルなどの若手選手を育成した功績が認められて長期契約を勝ち取っています。

ただし、せっかく育てた選手もチームのドラフト上位指名権獲得の駒として使われる不運な人として認識されています。

「1位指名権コレクター」サム・ヒンキー時代(2013年~2018年4月)

出典: bleacherreport

サム・ヒンキーはロケッツのダリル・モーリーGMの下で2005年から2013年までアシスタントGMとして働いています。

ヒンキーの代名詞といえば「執拗なまでのタンク」ではないでしょうか。ドラフト上位指名権を獲得するためにレギュラーシーズンを負け続けて、さらにはその年に活躍した選手もオフにはトレードで放出して、また指名権を獲得するということを約3年間貫き通しました。

これによって今のコアメンバーである、エンビードとシモンズを同時期にプレーさせることに成功しています。言わば現在のシクサーズがあるのはこのヒンキーによるところが大きいと言っても過言ではありません。

サム・ヒンキーが関わったドラフトと主なトレードと契約について

  • 2013年 1巡目11位 マイケル・カーター・ウィリアムズ 新人王獲得
  • 2013年 1巡目6位 ナーレンズ・ノエル ※全休、ドリュー・ホリデーとのトレードで獲得
  • 2014年 1巡目3位 ジョエル・エンビード ※全休
  • 2014年 2巡目39位 ジェレミー・グラント、ダリオ・サリッチの保有権獲得
  • 2015年 1巡目3位 ジャリル・オカフォー
  • 2016年 1巡目1位 ベン・シモンズ ※全休
  • 2017年 1巡目1位 マーケル・フルツ ※セルティックスの1位指名権とシクサーズの3位をトレード。セルティックスは3位でジェイソン・テイタムと2018年、2019年1巡目指名権も獲得。
  • 2017年10月 ジョエル・エンビードと5年1億4650万ドルで再契約

指名した選手がケガをするという不運が重なってか、はたまたタンクによるものなのか、ルーキーシーズンを全休するルーキーばかりのシクサーズは、指名するとケガをするという噂が流れてさえいました。

この顔ぶれを見ると、シクサーズは選手のスカウティングに長けたチームのようです。ですが、辛抱強く育成しているかといえばそうではないように思えます。

徹底してタンクを続けると、さすがにファンの怒りや失望も膨らんで、ヒンキーGM時代が終わりを迎えました。エルトン・ブランドのGM就任です。

エルトン・ブランド時代のドラフト・トレードについて(2018年9月~)

出典:USA Today Images/Bill Streicher

GMに就任したブランドは思い切った舵を取ります。まずはエンビード、シモンズのデュオにジミー・バトラーをトレードで獲得します。

  • 2018年 1巡目10位 ミケル・ブリッジズ ※ブリッジズを指名するもすぐにサンズの16位指名権(ザイール・スミス)と2021年1巡目指名権(マイアミ・ヒート経由)とトレード
  • 2018年 1巡目26位 ランドリー・シャメット
  • 2018年11月 ウルブスとのトレードでジミー・バトラー獲得

シクサーズ獲得:ジミー・バトラー、ジャステイン・パットン ※パットンは3試合で解雇

ティンバーウルブス獲得:ロバート・コビントン、ジャレット・ベイレス、ダリオ・サリッチ、2022年ドラフト2巡目指名権

続いてクリッパーズからトバイアス・ハリスも獲得。優勝するために大胆なカードを次々切っていきます。

  • 2019年2月 クリッパーズとのトレードでトバイアス・ハリス獲得

シクサーズ獲得:トバイアス・ハリス、ボバン・マリヤノビッチ、マイク・スコット

クリッパーズ獲得:ウィルソン・チャンドラー、ランドリー・シャメット、2020年1巡目指名権(ロッタリープロテクト)、2021年1巡目指名権(マイアミ経由プロテクトなし)、2021年2巡目指名権、2023年2巡目指名権

ここで注目したいのは、ハリス獲得のために1巡目2本と2巡目2本を放出していることです。いまとなってはたらればですが、シューターのシャメット放出ももったいないです。

  • 2019年 1巡目24位 タイ・ジェローム ※セルティックス20位のマティス・サイブルと交換
  • 2019年7月 ベン・シモンズと5年1億7000万ドルで再契約
  • 2019年7月 トバイアス・ハリスと5年1億8000万ドルで再契約
  • 2019年7月 ジョッシュ・リチャードソンFAで獲得
  • 2019年7月 アル・ホーフォードと4年1億900万ドルで契約
  • 2020年2月 アレック・バークス、グレン・ロビンソン3世、2020年2巡目指名権(レイカーズ)獲得

ここでも注目したいのはトバイアス・ハリスとアル・ホーフォードの2人に超大型契約を結んだことです。これが今後のシクサーズを苦しめることになります。

2020/21シーズンのチームサラリーについて

シクサーズの2020/21シーズンのチームサラリーに注目します。

エンビード(2,950万ドル)、シモンズ(2,925万ドル)、ハリス(3350万ドル)、ホーフォード(2750万ドル)の4人だけで1億2000万ドルほどになります。

ラグジュアリータックスの上限が1億3262万7000ドルに決定しているので、この4人を維持したままではほとんど補強に使えません。

さらに言えば来シーズンどころか再来年のシーズンまでパンパンな状態です。

これがシクサーズが抱える1番の大きな問題と言えるでしょう。

新ヘッドコーチ選任と今後の補強・トレードについて

シクサーズは8月24日にブレット・ブラウンHCを解任したと発表しました。後任のヘッドコーチ探しが始まります。噂に挙がっているのは今のところクリッパーズのティロン・ルーとスパーズのベッキー・ハモンです。

またブランドGMはエンビードとシモンズをトレードしないと明言しています。本当かどうかはさておき、そうなったらハリスとホーフォードのトレード先を探すことになると思います。

まとめ

いくらブランドGMが「エンビードとシモンズはトレードしない」と言ってもまだ分かりません。チームを強くするためにはエンビードとシモンズも動かすかもしれません。

その前にヘッドコーチが先に決まると思いますので今後も新しいニュースをチェックしていきたいと思います。

今回参考にしたサイトのリンクと、過去の関連するブログのリンクを貼っておきます。

https://www.sportingnews.com/jp/nba/news/daisuke-sugiura-column-55-76ers/fli4hiqzees81p6ih3ucfeb1vmig

https://www.sportingnews.com/jp/nba/news/elton-brand-not-looking-trade-embiid-simmons/5mgj796hd82l18qlpamqip64j

https://www.sportingnews.com/jp/nba/news/nba-salary-cap-for-2019-20-season-set-at-109140-million/1cxaxvz0zvzvl1db1fdtj7oeyz

http://www.tankathon.com/76ers

ここ数年で買ってよかったもの(2021年2月8日更新)

 

Translate »