今回はドック・リバースがシクサーズにどんな改革をもたらすかという視点で進めていきたいと思います。
ニュースソースは『libertyballers.com』の10月6日の
記事で、「ドック・リバースはベン・シモンズを”ロブシティ”のときのブレイク・グリフィンのようなプレーをさせられるか?」という内容です。↓このサイトの要約をまとめると、
- シモンズがミッドレンジジャンパーを打てるようになればシクサーズは良くなる。
- シモンズはピック&ロールとシュートスキルを向上させなければならない。
- クリッパーズの2013/14、2014/15シーズンのピック&ロールからの得点はリーグ1位。
- シモンズはスリーポイントの他にもミッドレンジのシュートスキルも上げる必要がある。
- クリッパーズの過去の動画からグリフィンのピック&ロールのローラーとしてのプレーを解説。(シクサーズの選手に置き換えるとどうなるかという解説付き)
- シクサーズにはJJ・レディックのようなクイックで打てるシューターが必要。
- リバースHCはクリッパーズでトバイアス・ハリスにピック&ロールのスキルを身に着けさせてキャリアハイの活躍をさせた。
などです。リーバスHCはシクサーズのヘッドコーチの就任記者会見で「シクサーズの(オフェンス)ペースをリーグトップ10まで上げたい。」と言っていたので、来シーズンのシクサーズはピック&ロールからのオフェンス機会を増やして、早い試合展開になることが予測できます。
ではここからが本題です。前述した要点をいまのシクサーズに置き換えるとどうなるのかをスタッツや動画で検証していこうと思います。
※データは『NBA.com』から引用しています。
ブレイク・グリフィンとクリッパーズのオフェンスについて
ブレイク・グリフィンとベン・シモンズを比較しようにもグリフィンはパワーフォワードでシモンズはポイントガードの選手というイメージが強く、それぞれオフェンスパターンも違います。まずはブレイク・グリフィンのクリッパーズ時代のスタッツを確認します。
これはグリフィンのクリッパーズ時代の主要スタッツです。注目したいのはスリーポイントのアテンプト数ですが、ほとんど打っていません。17/18シーズンに急に打つようになっていますが、それまではほとんど打っていないという印象です。これによるとベン・シモンズが無理にスリーを打たなくてもいいのでは?と思えてきます。
ではこの”ロブシティ”時代のクリッパーズのグリフィンのどの辺りをシモンズが見習えばいいか動画で追ってみます。この動画は冒頭にリンクを貼った
記事から引用しました。“ロブシティ”クリッパーズのオフェンス動画集
これらの動画のクリッパーズをいまのシクサーズに置き換えると、グリフィン役をシモンズ、ボールハンドラー役をミルトン、スリーを打つのがリチャードソンやハリス、デアンドレ・ジョーダンをエンビードが務めることをイメージしてみてください。
次の動画ではシューターのレディックがデアンドレ・ジョーダンのスクリーンを利用してシュートを放っています。
続いてはグリフィンからのロブパスをジョーダンがダンクする場面です。
次はオースティン・リバースがジョーダンのハイスクリーンを利用して、トバイアス・ハリスのスリーを演出する場面です。
次はグリフィンがエルボーの位置からレイモンド・フェルトンにスリーを打たせる場面です。
続いてはレディックがグリフィンの周りを迂回しながらペイント内に侵入してディフェンスを粉ランさせてバ・ムーテのレイアップを演出しています。
最後はグリフィンからのパスでジョーダンがダンクを決める場面ですが、よく見るとクリス・ポールとレディックのオフボールスクリーンが連動していて、それによって相手ディフェンダーのドラモンドが遅れさせられていることが分かります。
以上が動画で視るクリッパーズのピック&ロールやスクリーンのかけ方などを用いたオフェンスです。これらのオフェンススキルを来シーズンのシクサーズに持ち込むことができれば、また一段上のレベルのオフェンスを構築することができそうです。
ただここで問題になってくるのが、グリフィンとシモンズのシュートレンジの違いです。
グリフィンとシモンズのシュートレンジの比較
ルーキー時代のグリフィンはリム周り中心に得点する選手でしたが、キャリアを重ねるにつれて徐々にシュートレンジを広げています。シュートレンジが広がればディフェンスをペイントから外へ広げることができて、味方へのパスもより有効になるわけですが、問題はシモンズのシュートエリアの狭さです。
これは2019/20シーズンのレギュラーシーズンにシモンズとエンビードの得点を決めたゾーンで、左がシモンズ、右がエンビードです。
シモンズは得点のほとんどがゴール下かペイントエリアに集中しているのに対して、エンビードはシモンズよりも広範囲で得点を決めています。
シモンズにいきなりスリーポイントを試合で連発させるのは難しいかもしれませんが、グリフィンがキャリアを重ねてシュートレンジを広げていったように、シモンズも徐々にシュートレンジを広げてくことはできるはずです。そうすればチームメイトとのオフェンス時での共存への道も開かれます。
ところでガードの選手でありながらスリーを打たない選手を想像すると、パッとすぐに思い浮かぶのがスパーズのデローザンなのですが、デローザンのシュートエリアを調べてみたら、非常に広範囲であることが分かりました。
デローザンはスリーはほとんど打ちませんが、相手ディフェンダーを引き付けて味方にパスするというプレーはアデトクンボにも似ている印象があります。
シモンズもデローザンやアデトクンボのようにペイントに侵入してから味方にパスアウトするプレーをレギュラーシーズンで何度も見せているので、シモンズがミッドレンジのシュートの確率を上げていけば、より味方を活かせるプレイヤーになれるはずです。
次に検証したいことはシクサーズのシューターにクイックで打てる選手はいるのか?ということです。これについてはシクサーズのシューターのスタッツを確認してみます。
シクサーズのスリーポイント成功率が高い選手
- シェイク・ミルトン 43% 3PM1.5、3PA3.4
- アレック・バークス 41.6% 3PM1.8、3PA4.3
- フルカン・コルクマズ 40.2% 3PM2.0、3PA4.9
- マイク・スコット 36.9% 3PM1.2、3PA3.2
- トバイアス・ハリス 36.7% 3PM1.8、3PA5.0
こんな感じになります。シクサーズのレギュラーシーズンのスリーポイント成功率はリーグで9位と高水準です。しかしアテンプト数はリーグ22位と下位に沈んでいます。またこの中でアレック・バークスはこのオフにFAになるため、いなくなる可能性があります。
続いてシクサーズのピック&ロールからの得点についてです。
シクサーズのピック&ロールからの得点 (レギュラーシーズン)
- ボールハンドラーの得点 11.5得点 リーグ29位
- ロールマンの得点 6.0得点 リーグ28位
詳しくは下のリンク先で確認できます。
https://stats.nba.com/teams/ball-handler/?SeasonType=Regular%20Season
https://stats.nba.com/teams/roll-man/?SeasonType=Regular%20Season
シモンズとエンビードというタレントがいながらピック&ロールからの得点が少ないことが分かりました。リバースHCがシクサーズを率いてみたいと思った理由はここにあるのかもしれません。
長くなってきましたがそろそろ最後のトピックスにします。リバースHCがチームを率いた場合、過去に指導した選手をリクルートしやすいのでは?という点です。
シクサーズに呼べそうな選手
- クリス・ポール トレード次第
- J・J・レディック トレード次第
- オースティン・リバース FA(プレイヤーオプション)
- ジャマイカル・グリーン FA(プレイヤーオプション)
- ジャマール・クロフォード
シクサーズは財政的に逼迫しているため、誰かを動かさなければポールやレディックの獲得は難しいので、この中で現実的にあり得そうな選手はジャマイカル・グリーンか息子のオースティンか、クロフォードあたりではないでしょうか。
まとめ
ドック・リバースがシクサーズをどんな風に改革していくか楽しみですが、”ロブシティ”クリッパーズのように魅力的なチームのカルチャーをシクサーズに植え付けることができれば優勝も見えてくるのではないでしょうか。
今回は長文になったため公開するまで時間が掛かってしまいました。分かりにくい部分もあったかと思いますが最後まで読んでくださってありがとうございました。
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