はじめに
まずマイケル・ルイスって誰?と思うかもしれませんが、ブラッド・ピット主演で映画化もされた『マネーボール』の著者と言えば、ピンとくる方も多いのではないでしょうか?
『マネーボール』は当時弱小チームだった、メジャーリーグのオークランド・アスレチックスのGM・ビリー・ビーンが、セーバーマトリクスというまったく新しい視点で選手を評価する統計データを導入してチームを強豪へと作り変えたノンフィクション作品です。
映画を観てしばらくしてから原作本、さらには今回紹介する『かくて行動経済学は生まれり』を読むに至ったわけですが、この本は第1章だけNBAを取り上げています。ですのでNBA以外は興味がないという人はこの第1章だけ読むことをお勧めします。
『かくて行動経済学は生まれり』の第1章について
この本の第1章では、ダリル・モーリーの学生時代やロケッツに雇われるようになった経緯、ロケッツのGMに就任後に苦労しながらも成功していく様が描かれています。
個人的に興味深かったのは、モーリー独自の統計データでは、デアンドレ・ジョーダンやマルク・ガソルが弾かれていたことです。
デアンドレ・ジョーダンは大学時代のコーチとソリが合わずに出場機会に恵まれず、その潜在能力の高さが日の目を得ずに見過ごされたことが原因でした。結局2巡目35位でクリッパーズに指名されています。
マルク・ガソルに関しては現在よりも肉付きの良い体形がネックとなって、ロケッツは指名するチャンスが充分にありながらも2巡目48位でグリズリーズが指名しています。
確かにこの写真だと指名を見送りたくなりますね。
彼らのその後の活躍を見れば「もったいない」という結論に至りますが、ほとんどのスカウトやGMが彼らの才能を見誤っていたということが分かります。
まとめ
ダリル・モーリーがロケッツのGMを務めた期間は2007年5月~2020年10月までの13年間ですが、以前、この期間にロケッツが行なったドラフトやトレードをまとめたブログを書いたので気になる方はご覧ください。
https://theadmiral50.net/nba/2020-10-29-daryl-morey
モーリーがロケッツで行なったことは、徹底したデータ収集と選手との面談を繰り返し行なうということ。確かにいくら身体能力が高くても、練習嫌いだったり、向上心に欠けている、モチベーション不足、素行不良だったりすれば当然獲得を見送るべきです。
話を本に戻しますが、第1章以外は2人のユダヤ人心理学者の話を中心に展開しているため、ただのNBA好きな人が読むにはなかなか骨が折れました。
ダリル・モーリーがこれまで行なった人事関連の決断は、後に成功したと言われるものが総体的に多く、彼独自の統計データ収集と選手との面談を徹底するという行ないは正しいと言えます。
モーリーは2020年にシクサーズに活躍の場を移していますので今後の活躍を期待したいと思います。
最後まで読んでくださってありがとうございます。