ロケッツのヘッドコーチ職を退いてから、その動向が注目されるマイク・ダントーニですが、シクサーズの新ヘッドコーチになるのでは?との噂が絶えません。今回はそれを理由づける分かりやすい記事を見つけたので取り上げてみようと思いました。
『usatoday』が、マイク・ダントーニがシクサーズのヘッドコーチにふさわしい理由を3つ挙げていたので紹介していきます。
ダントーニがサンズ時代に起こしたイノベーションに期待する
ダントーニは04/05シーズンのサンズで『7秒オフェンス』(※7秒以内にシュートを打つというオフェンスシステム)によってリーグを席巻し、その年の最優秀ヘッドコーチ賞を受賞しました。
このオフェンスシステムは、当時ハーフコートオフェンスが主流だったNBAのトレンドを根底から覆しました。まさにイノベーションを起こしたと言えます。
ここで突然ですが、04/05シーズンのサンズとその年の優勝チームのスパーズのオフェンススタッツを確認していきます。
04/05シーズン サンズとスパーズのオフェンススタッツ比較 ※NBA.com調べ
04/05シーズン サンズとスパーズのオフェンススタッツ比較② ※NBA.com調べ
04/05シーズン サンズとスパーズのオフェンススタッツ比較③ ※NBA.com調べ
数字ばかり見るのが苦手な人はごめんなさい。調べてみてわかったことは、この年のサンズは優勝チームのスパーズよりも
- スリーポイントをより多く放っている。
- ディフェンスリバウンドを取っている。
- 攻撃回数が増えて得点数が伸びている。
- 速い試合展開でオフェンスレーティングを伸ばしている。
以上のことがわかりました。ディフェンスリバウンドをしっかり取ることでファーストブレイクに繋がり、それに伴ってFG%も高くなります。また、相手チームのディフェンスが整わない内に攻撃することもそれを裏付けています。
ただしこのオフェンスシステムは、スティーブナッシュのような創造性が高く優れたポイントガードと、それに呼応できる走力のあるサポーティングキャストがいなければ成立しません。
ダントーニはロケッツでも基本的には同じようなオフェンスシステムを採用して成功を収めています。ロケッツではナッシュの代わりをハーデンやクリス・ポールが務め、走れる選手を周りに揃えています。
少し話が逸れてしまいましたが、ダントーニがシクサーズにふさわしい理由の2つ目の理由に戻ります。
ダントーニがスター選手の扱いに長けていること
ダントーニはサンズでナッシュやスタウダマイヤーを。ロケッツではハーデン、クリス・ポール、ウェストブルックなどを上手くマネージメントしています。特にハーデンをリーグMVPや得点王に導いた手腕は高く評価されています。
ダントーニ加入後にハーデンが獲得した個人タイトル ※Wikipedia調べ
- 16/17シーズン アシスト王、オールNBA1stチーム
- 17/18シーズン シーズンMVP、得点王、オールNBA1stチーム
- 18/19シーズン 得点王、オールNBA1stチーム
- 19/20シーズン 得点王、オールNBA1stチーム
つまりこういったスター選手達の扱いに優れたダントーニは人心掌握術に長けたコーチであり、それは同じくスター選手を抱えるシクサーズでも期待できます。
シクサーズはエンビードとシモンズという2つのタレントを上手く活かすことができずにいます。ダントーニがシクサーズを指揮する場合、この2つのタレントを上手くマネジメントしていくことが必要になります。
ダントーニがシクサーズを指揮する場合はロスターの変更が不可欠
ダントーニがヘッドコーチを引き受ける場合、シクサーズは今よりも機動力あるロスターへの変更が必要になります。ただそこで問題になるのはエンビードとシモンズを動かさずにアル・ホーフォードやトバイアス・ハリス、ジョシュ・リチャードソンを動かせるかということです。
シクサーズはエルトン・ブランドがGMになった2018年に、ジミー・バトラー、トバイアス・ハリスをトレードで獲得するなどの積極的な補強を行なって将来のドラフト指名権を多数手放しています。
シクサーズ獲得:ジミー・バトラー、ジャステイン・パットン ※パットンは3試合で解雇
ティンバーウルブス獲得:ロバート・コビントン、ジャレット・ベイレス、ダリオ・サリッチ、2022年ドラフト2巡目指名権
シクサーズ獲得:トバイアス・ハリス、ボバン・マリヤノビッチ、マイク・スコット
クリッパーズ獲得:ウィルソン・チャンドラー、ランドリー・シャメット、2020年1巡目指名権(ロッタリープロテクト)、2021年1巡目指名権(マイアミ経由プロテクトなし)、2021年2巡目指名権、2023年2巡目指名権
さらに2019年にはベン・シモンズ、トバイアス・ハリス、アル・ホーフォードと大型契約を結んだことでチームサラリーも逼迫しています。
・2019年7月 ベン・シモンズと5年1億7000万ドルで再契約
・2019年7月 トバイアス・ハリスと5年1億8000万ドルで再契約
・2019年7月 ジョッシュ・リチャードソンFAで獲得
・2019年7月 アル・ホーフォードと4年1億900万ドルで契約
これらの契約により、シクサーズのロスター変更は非常に難しい状況に陥っています。ブランドGMはエンビードとシモンズを動かさないことを明言していますが、実際は非常に困難な状況です。
ただしダントーニがチームを率いる場合、選手達に機動力が求められることからエンビードの放出も起こり得ます。ここからは想像にはなってしまいますが、もし、ダントーニがコーチを引き受ける条件にエンビードの放出を望んだとしたら、シクサーズはそれを受け入れるのかが非常に気になります。
まとめ
ダントーニはリーグ屈指の名ヘッドコーチですが、今のシクサーズのロスターと今シーズンのロケッツは180度違うチームです。彼が本来の実力を100%発揮するためには大幅なロスター変更が必要になります。シクサーズがダントーニを採用するなら、エンビードとシモンズのデュオ解体も覚悟しなければならないでしょう。
皆さんはどう思いますか。長文になりましたが最後まで読んでくださってありがとうございました。
今回参考にしたリンク先と過去に自分が書いたシクサーズ関連のブログのリンクを貼っておきます。興味のある方はご覧ください。
[itemlink post_id=”1343″]